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開業前に知っておきたい労務管理Labor Control

スタッフとの問題はよく起こること?

病院スタッフのイメージ写真

先生方がご開業された後、常に頭を悩ます問題の1つがスタッフ問題、つまり労務管理です。
ご開業され無事に盛業されましても、スタッフの接遇態度や急な退職、スタッフ間の不仲といった「人」にまつわる悩みは尽きないものです。
決して大げさではなく、開業後1年以内にスタッフ全員が入れ替わっていた、などという話はよく聞きます。

「スタッフ面接時の注意点」ページにて面接での質問方法などを説明しておりますが、個々のスタッフ面接時間はほとんどの場合で短時間であり、「人となり」を見抜くことはなかなか難しいと言わざるを得ません。

スタッフとのトラブルで多い事項は以下の通りです。

  • 昇給の時期や額
  • 残業の有無やその時間
  • 仕事内容 ※ など

※仕事の内容とは、例えば看護師退職に伴い、受付事務の方に看護助手業務を少しの間だけと依頼したところ、「それは私の仕事ではない」と言って非協力的な態度をとるなど。

上記のような事態を発生させない基本的な解決策は「雇用契約書」を各々のスタッフと正式雇用前にしっかりと締結しておくことです。
決して口約束のみで労働条件を伝えてはなりません。
言った言わないで後々高い確率でトラブルになり、最悪の場合は訴訟にまでもつれることもあります。
雇用契約書は、いわば「始めが肝心」を具現化した書面といえます。
以下に雇用契約書について簡単にご説明を申し上げます。

雇用契約書とは

労働基準法では、労働者に労働条件を明示することを義務付けておりますが、雇用契約書を締結することまでは義務付けておりません。
しかしながら後々のトラブル防止の観点より、双方の署名捺印を取り付ける雇用契約書の締結が望ましいといえます。
雇用契約書には当然に労働条件を明示しますが、その中でも必ず明示しないとならない事項(絶対的明示事項といいます)と、定めるのであれば明示しなければならない事項(相対的明示事項といいます)とがあります。

絶対的明示事項について
(1~5は書面での明示が必須)

  1. 労働契約の期間に関する事項
  2. 就業の場所、従事する業務の内容
  3. 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働(早出、残業など)の有無、休憩時間、休日、休暇および交替制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項
  4. 賃金の決定、計算・支払いの方法および賃金の締切り・支払いの時期に関する事項
  5. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
  6. 昇給に関する事項 ※6のみ口頭での明示も可

相対的明示事項

  1. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法および支払いの時期に関する事項
  2. 臨時に支払われる賃金、賞与などに関する事項
  3. 労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項
  4. 安全・衛生に関する事項
  5. 職業訓練に関する事項
  6. 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
  7. 表彰、制裁に関する事項
  8. 休職に関する事項

※パートの労働者を雇用する際にも同様に労働条件を明示する必要があります。

就業規則の必要性を考える

雇用契約書に記載のない事項、例えば派手なマニキュアをつけない、院長に反抗的な態度をとらない、チームワークを乱さないなどの服務規定や患者の個人情報を院外で口外しないといった大切な個人情報保護規定等については「就業規則」に定めて、スタッフ全員に遵守してもらうことも大切です。
その点で就業規則は「職場の憲法」と言われております。
ただし、就業規則は「常時10名以上の労働者を使用する事業場」では、作成義務がありますが、9名以下の場合でも職場のルールブックづくりのためにも作成をお勧めいたします。

就業規則作成時の注意点

就業規則はその内容が労働基準法に反する部分については無効となります。
逆に労働基準法以上の条件、「例えば賞与を必ず支給する」と就業規則に入れた場合、それは強制力をもつことになりますので、何を就業規則に記載するかはよくよく検討する必要があります。

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