高機能物流センターの
開発に込められた思い

「止まらない物流と顧客起点の
物流全体最適を目指して」

医療用医薬品卸売業に求められている
物流とは何か?
~高機能物流3つの開発コンセプト~

私は元々、化粧品·日用品·一般用医薬品等を扱う卸·株式会社PALTACで物流を担当していました。2005年、経営統合により現在の株式会社メディパルホールディングスの一員となったのを機に、翌年から医薬品の新しい物流開発を担当することになりました。

メディセオの物流は、メーカーで作られた医薬品を、病院や調剤薬局などにお届けする中間物流です。他の中間流通と異なるのは、主に医療用医薬品という生命関連商品を扱う点です。 では、生命関連商品を扱う医療用医薬品卸売業に求められている物流とは一体何か…?考えに考え抜いた結果、見えてきたのは、次の3つのコンセプトでした。

  • 第1欠品のない止まらない物流であること
  • 第2間違いのない確実な納品と、トレーサビリティ(traceability:追跡可能性)を確保すること
  • 第3流通プロセス全体を効率化·最適化すること
    =サプライチェーンマネジメント(supply chain management:SCM)
第一に重要なのは、"止まらない物流"であることです。途切れることのない商品供給は、中間流通の基本的責務ですが、特に人の命に関わる医薬品は、どんな災害時であれ、必要なものを、必要としている人に確実にお届けしなければなりません。だからこそ、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)やサステナビリティ(sustainability:持続可能性)を重要な戦略として位置づけ、免震構造の建物、自家発電装置、自家給油設備、緊急配送用バイクなど、あらゆる場面を想定した対策を用意しました。これが、私たちの物流の大黒柱です。

その次に重要なのが、システムです。これまでは、経験や勘、目視などによる人間系のチェック工程が、卸側にも受け入れ側(医療機関)にも多数存在していました。それを機械化·システム化することで、ミスのない確実な納品を可能にしました。
また、最終需要者である患者様まで安心·安全を届けるために、履歴管理システムを整備し、万が一ミスが発生しても、誰が、いつ、どこで、どの患者様に渡したのかが分かり、迅速かつ適切な対策が行われることにもこだわりました。自社開発のシステムによって、作業の生産性·確実性が高まっただけでなく、トレーサビリティの確保と調剤過誤予防など信頼性の向上にも貢献しています。

そして、忘れてはならないのは、流通プロセス全体最適の視点です。国民医療費の高騰が叫ばれて久しい日本の医薬品流通には、未だ多くのムダが見受けられます。このムダを支払うのは、患者様と保険料を支払っている国民の皆様です。医薬品が作られ、最終需要者に渡るまでの流通全体のムダをなくし、流通コストの削減に貢献することは、企業としての重要な役割です。 生産者や卸起点の考え方ではなく、買う立場、使う立場で物事を考えることにより、ムダが削減され、顧客満足も高まります。私たちは、お得意様が患者様との時間を創出できるよう内部業務を効率化できないか考えました。そして、生まれたのが、お得意様別完全梱包での納品という発想です。

現在も革新を続けるメディセオの高機能物流センター。その揺るがない軸は、この3つのコンセプトの追求にあるのです。

業界初、お得意様別完全梱包への挑戦

流通の全体最適を考える中で、お得意様にとっても、卸側にとっても、煩雑で多くの時間を使っている検品作業をどうにかして軽減できないかと考えていました。それには、ご注文いただいたバラ商品をお得意様ごとに一つの箱にまとめて、ALCから直接配送する方法が良いと思っていました。しかしながら、お得意様単位の出荷を大型センターで行なうのは、煩雑すぎて無理だというのが業界の常識。それでも、お得意様が患者様と接する時間を創出し、より良い医療を実現していくためには、乗り越えなければならない壁だと思いました。

ある時、「メーカーから受け取るケース梱包品の検品は、なぜ中身を確認せず、ケース単位の確認でいいのか?」と疑問がわきました。そこで、内容の精度に対する信頼性が高いから可能なのだと大きなヒントを得ました。
私たちのお届けするバラ単位の商品も、お得意様に信頼していただける精度で配送できれば、内容検品をせずに箱単位の検品で済むのではないか。そうすれば、お得意様の検品時間が大幅に短縮され、業務の効率化や生産性向上に貢献できるはずだと考え、さっそく開発に取り掛かったのです。

まず出荷精度の目標は、6σ(シックスシグマ:99.9997%)。つまり、ミスは100万分の3.4回以内に収めるということです。物流センターのあらゆる工程で、バーコードによるチェックシステムを取り入れ、人間系のミスを排除しました。これにより、商品の取り違えなどのミスは無くなりましたが、数量のミスをどう防ぐかが次の課題でした。
その課題には、1gから10kgを越えるまで正確に計測できる高性能の電子秤を搭載したピッキングカートを開発し、商品をスキャンチェックした後、納品用の箱に入れるだけで自動的に数量チェックが可能な仕組みを作りました。誰でも簡単·正確·スピーディに出荷できるピッキングカートによって、現在も全てのALCで6σを確実に実現しています。

また、納品箱は、自動的に梱包用テープでバンドルされ、お得意様の手元に届くまで箱内の商品には誰も触れない「完全梱包·ノータッチシステム」を実現し、さらに確実性と信頼性を高めました。納品時にハンディー端末で箱に付けられたラベルをスキャンするだけで検品ができるようになり、お得意様にとっても、私たちにとっても大幅な業務効率化に繋がりました。

何事も、試行錯誤の繰り返し。その積み重ねが世のため、人のため、自分のためになっていくのです。

重要なものだからこそ、自前で設計

物流は、私たち流通業にとって最も大切な機能です。重要なものだからこそ、誰よりも業務内容を知り尽くした自分たちの手で設計すべきだと私は考えています。
例えば、配送に使われる「通い箱」一つをとっても、お得意様の発注量に合わせた最適なサイズや製品がなかったため、独自で大·中·小のボックスを金型から起こして作りました。また、物流拠点となるALCの建物や設備、システムは、自ら考えに考え抜いて基本設計を行ないました。
今でも部下には、動作分析やCADシステムを用いた設計など、自前でできるように指導しています。そうすることで、貴重な経験やノウハウも積み重なって会社や自分自身の財産となるのです。

誰でも簡単·正確·スピーディに出荷できるピッキングカートSPIEC(スピーク:Scan Piece Picking Cart)
お客さまのご注文量に合わせた納品用ボックス(通い箱)
梱包用テープでバンドルし、お得意様の手元に届くまで誰も商品に触れない「ノータッチシステム」を採用。信頼性がスキャン検品を可能にしました。

メディパルグループの物流革新は
これからも続く

少子高齢化、人手不足など、物流を取り巻く環境は厳しさを増すばかりです。将来を考えると、労働集約型物流から、より省力化、省人化、自動化、ロボット化していかなければ、お得意様や患者様を始め、社会の要請にはお応えできません。

現在、メディパルグループ全体では2017年4月現在で9ヶ所のALCが稼働しています。中でも、2016年6月の福岡ALCを皮切りに、2017年4月から埼玉ALC·岡山ALCを加えた計3ヶ所で、次世代物流システム『AUPUS』を搭載した新型ALCをスタートさせ、さらなる流通最適化、生産性向上を進めています。

例えば、一般的な物流センターでは、人がカートを押し歩いてピッキングをする方式が採用されています。これは、歩く·探すという作業が半分を占める、非常に手間暇のかかる方法です。 一方、新型ALCでは、ケースもバラも商品は自動倉庫で保管し、保管された商品は、ピッキング担当者の前まで自動で払い出され、ピッキングした商品は高速仕分けソーターに流すことで得意先別に仕分けられ、箱詰めされるという方式を採用しました。これにより、従来のALCの基本コンセプトはそのままに、庫内業務の大半を機械化·自動化することに成功し、作業生産性は約5倍以上も向上できました。
そして、さらなる生産性向上のために、ケースピッキングや商品取り出し、箱詰め梱包などをロボットで行なうべく、現在も研究開発を続けています。

今後もメディセオでは、止まらない物流と流通全体最適を追い求め、顧客視点で革新を続けて参りますので、ぜひご期待下さい。